2024.05.31
INDEX
INDEX
営業倉庫とは国土交通大臣から登録されている物資を預かって保管する、営業を目的とした倉庫のことです。種類は豊富で、1類から3類、野積、水面など多岐にわたります。
選ぶ際に注目すべきポイントとしては、自社製品に適しているか、保管する商品に適した資格になっているか、総面積や収納能力に問題はないかなどです。物流業者とのすり合わせも重要なポイントとなります。
この記事では、営業倉庫の基礎知識をはじめ、種類や選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。
営業倉庫とは、他人の貨物を保管する業務を行うために、国土交通大臣から登録を受けた倉庫のことです。倉庫を運営することを「倉庫業」と呼び、個々の倉庫は営業倉庫として登録されています。
よく似た種類として自家用倉庫がありますが、倉庫の使用目的が異なるので注意が必要です。自家用倉庫は自分自身の貨物を保管するために使用する倉庫ですが、営業倉庫は第三者から貨物を預かって保管する倉庫になります。
また、営業倉庫は貨物の保管を有償で委託する場合、倉庫業法に従わなければなりません。登録している倉庫での保管を厳守しなければならず、規則を破ると倉庫会社側が罰則の対象になります。利用者が対象ではないので注意しましょう。
倉庫は主に「営業倉庫」と「自家用倉庫」の2種類に分けられます。それぞれの違いを理解することは、倉庫に関する知識を深める上で重要です。
営業倉庫は第三者の物資の預かりと保管を営業とする倉庫のことで、倉庫業として他人の荷物を保管することで料金を受け取ります。
保管サービスの他にも、商品のピッキング作業、入出庫作業、梱包などを代行してくれるところもあります。特にネットショップの運営者や個人に対しては、在庫管理から出荷までの一連の業務を提供するサービスも多く提供されています。
営業倉庫は倉庫業法の規定に従う必要があり、営業を行うためには国土交通大臣から登録されなければなりません。登録を受けずに営業を行うと、法的な罰則が適用される場合があります。
また、施設や設備には火災保険の加入や安全対策など一定の基準が設けられており、それぞれの条件を満たさなければ営業許可はおりません。
一方で、自家用倉庫は個人や企業が自身の物資を保管するために使用する倉庫のことです。例えば、製造業者が自社の製品を保管するために使用する倉庫や、個人が私物を保管するために自宅に設置した倉庫などが該当します。
注意すべきポイントは、自家用倉庫は倉庫業に適用されないことです。そもそも営業目的の倉庫ではないため、国土交通大臣の登録も必要ありません。しかし、建築基準法や都市計画法など、住まいに関する法規制は適用されるので注意しましょう。
自家用倉庫での倉庫業の運営は、法律で禁じられています。ただし、賃貸契約により一部を他者に貸し出すことは可能です。
営業倉庫には、1類から3類、野積、水面などさまざまな種類があります。他にも貯蔵槽倉庫をはじめ、冷蔵倉庫、危険品倉庫、トランクルームを提供する会社も存在します。
1類倉庫は日常で使用する一般的な品物をはじめ、紙、電気機械などを中心に保管する施設のことです。後述しますが、2類および3類倉庫で取り扱わないアイテムはすべて1類に含まれます。
1類とその他倉庫の違いは、設備や構造に関する基準が異なることです。基準は3つのグレードに分類され、1類倉庫はもっとも厳しい設備基準をクリアしなければなりません。また、防湿性能をはじめ、耐火性能、防火性能を備えている必要があります。
2類倉庫は麦や塩などの食品に関連するものや、鉄製品やセメントなどの資材を保管するための施設です。危険物を扱う倉庫で保管される品目を除き、貯蔵槽倉庫に該当する品目を保管できます。
2類倉庫の特徴としては、1類倉庫に比べて耐火性や防火性の基準が低いことが挙げられます。燃えやすい物品の保管には適さない営業倉庫のため、一定の制約はありますが、厳しい設定基準は設けられていません。
3類倉庫は1類倉庫や2類倉庫と同じく、一般的な倉庫業に分類される施設です。2類倉庫に比べて設備要件がさらに緩和されており、耐火性能や防湿性能の要件は厳しくありません。ただし、湿気や気温変化に敏感な物品の保管には不向きです。
倉庫の特性から見てもガラス製品や鉄材などの第3類から第5類に当てはまる物品を保管対象としています。保管できる物品に制限はあるものの、非常に利用しやすく運営もしやすい営業倉庫といっていいでしょう。
野積倉庫は、雨や日光などの自然要素の影響を受けにくい物品の保管が対象の施設です。主な物品としては、レンガをはじめ、セメント製品、木材などが該当します。屋外で保管しても問題ない物品であれば、多くが対象になると考えていいでしょう。
主な特徴としては、一般的な営業倉庫とは違い、屋外での物品保管を行うことです。保管される物品は国土交通大臣が定める基準に従い、柵や塀などの防護施設によって保護する必要があります。
また、防犯対策として、適切なセキュリティ設備を整えることや、物品が安全に保管されるよう落下防止措置を講じることも必要です。
水面倉庫とは、木材などの原材料を水面で保管するために設計された形態の施設です。特に原木のような物品の保管に適しており、流出を防ぐための対策として周囲には堤防などを設置します。
一定の防護措置が必要になるものの、主に木材専用の保管設備であるため、シンプルな運営と利用を行うことが可能です。
そもそも第5類物品である原木の保管のみを目的としている営業倉庫なので、対象に悩むことがありません。他の製品は保管の対象外です。
貯蔵槽倉庫は、容器に入れられていない小麦などの穀物や、糖蜜のような液体状の貨物を取り扱うことを対象としている施設です。
1類や2類倉庫で扱われる物品の中でも、サイロやタンクなどのバラ状態での保管が必要なものは貯蔵槽倉庫が利用されることがあります。
主な特徴としては、防火や耐水性能が挙げられます。燃えやすい物品を取り扱うことが多いため、消火器や消火設備の設置が必須です。また、倉庫の周壁や底面の強度は、国土交通大臣が定める基準を満たしている必要があります。
冷蔵倉庫は、農畜水産物に該当する生鮮品や凍結品などの加工品を10℃以下で保管するのに適した施設です。主に第8類物品に該当し、それらを保管することが目的になります。
設備要件としては、保管温度を常時10℃以下に保つことが必須です。基準は国土交通大臣によって定められており、倉庫を営業するためには厳しい基準を満たす必要があります。食品の保管を取り扱うこともあり、その他の営業倉庫とくらべると徹底した運営が必要です。
危険物倉庫は、危険物や高圧ガスを保管するために設計された施設です。名称のとおり、危険物を大量に扱うため、倉庫の設備基準は非常に厳しく設定されています。
倉庫には防湿性をはじめ、防火性、防水性が一定の基準で求められるほか、敷地内には塀や柵、鉄条網などの防犯設備の設置が必要です。さらには保管する物品の性質に応じて、特定の法律基準を満たさなければなりません。
他の営業倉庫とは大きく異なる特徴がいくつかあり「消防法」をはじめ「高圧ガス保安法」「液化石油ガスの確保及び取引の適正化に関する法律」に従って運営する必要があります。
トランクルームとは、倉庫業に分類される家財などの個人財産を保管するための施設です。国土交通大臣の認定を受ける必要があるため、認定トランクルームと呼ばれることもあります。
設備条件としては、定温性能をはじめ、防塵性能、防虫性能など、厳しい品質基準を満たさなければなりません。第三者の荷物を安全かつ安心して保管できることが、求められる基準です。
営業倉庫を選ぶ際に押さえるべきポイントとしては、第一に国土交通省に登録されているかのチェックです。営業倉庫という時点で登録されているものと確認をしないケースは珍しくありませんが、利用する前に信頼と実績は確認しておきましょう。
また、自社の製品に適した倉庫の種類か、保管する商品に適した資格があるか、倉庫の総面積や収納能力に問題がないかなども選ぶ上で重要なポイントです。物流業者とのすり合わせも考えながら、最適な営業倉庫を選ぶことが重要です。
営業倉庫を選ぶときに押さえておきたいポイントは、国土交通大臣の許可を受けているかどうかです。倉庫業を行うには国土交通大臣への登録申請が必要になるため、該当しない場合は公式の許可が得られていないことを意味します。
営業倉庫を運営するためには、かならず倉庫業法に従わなければなりません。許可を受けていない事業者は違法に営業していると判断できるため、国土交通大臣の認可がない倉庫は利用しないよう注意しましょう。
営業倉庫が認可されるためには、防火性を含む一定の安全基準を満たす必要があります。この基準があるからこそ、利用者は火災による商品の損失リスクに怯えることなく使用することが可能です。
さらに、万が一の火災発生時でも倉庫業者は火災保険への加入が義務付けられているため、適切な補償を受けられるようになっています。認可が下りていない倉庫を利用することは、ハイリスクであることを理解しておきましょう。
営業倉庫は特徴が異なる9つの種類があります。保管可能な物品はそれぞれで異なるため、自社の製品や原料を保管するのに適した倉庫かどうかを事前にチェックすることが重要です。
特に取り扱う商品の種類が多い企業や、将来的に取り扱う商品が増える可能性がある企業は、将来のニーズに対応できる営業倉庫を選ぶことをおすすめします。
例えば、鉄材を取り扱う事業者が3類倉庫を選び、その後に衣類も取り扱うことになった場合、衣類の保管ができません。このような事態を回避するには、最初からさまざまな商品を保管できる1類倉庫を選ぶ必要があります。
1類倉庫は、冷蔵商品や容器に入っていない液体以外の物品をほとんど保管することが可能です。将来的に商品の取り扱いが増える可能性がある場合は、1類倉庫を基準にするといいでしょう。
営業倉庫を選ぶ際に押さえておくべきポイントは、自社が保管したい商品に適した資格を持っているかどうかです。特定の商品を保管する際には、資格や許可証が必要になる場合があります。
資格が必要でない場合でも、商品の品質を維持し適切に管理するための専門知識や適切な管理体制が求められることがあるため、自社の商品を問題なく取り扱えるかどうかを事前に確認することが大切です。
保管するために特定の資格や認可が必要な商品としては、食品、医療機器、化粧品、酒類が該当します。いずれも一定基準を満たした体制や、許可証が必要になるので注意が必要です。
営業倉庫を選ぶ際は、保管する物品の量が将来的に増加する可能性も考慮することが重要になります。その上で注目すべきポイントは、倉庫の総面積や収容能力です。
例えば、セール期間や突発的な需要が増している状況下で、倉庫が臨時の物量変動に柔軟に対応できるかどうかを入念にチェックしておきましょう。特に物流倉庫を利用する場合は、商品の保管だけでなく、ピッキングや配送といった追加業務を問題なく行ってくれるかがポイントです。
委託するオプションにバリエーションがあったとしても、需要が増えた際にそれぞれを適切なレベルで対応してくれないと意味がありません。営業倉庫を選ぶ際は、倉庫の総面積や収納能力はもちろん、委託業務の対応力にも注目しましょう。
物流業者はそれぞれ得意分野や限界があります。物流倉庫を選ぶ際は、求めるサービスがどれだけのクオリティで提供してくれるか、そして専門知識をどれだけ持っているかを確認することが重要です。
例えば、商品の保管や配送は可能でも、顧客からの問い合わせ対応や返品交換の対応ができないという業者は珍しくありません。また、取り扱える流通加工の種類にも差があります。
営業倉庫を賢く選ぶためには、自社が物流業者に委託したい業務を明確にすることが大切です。業者が希望条件を満たすサービスが提供できるかどうかを十分に確認し、納得がいくまで調整を行いましょう。
こちらの記事では、危険物倉庫について解説しています。法令や施設の種類なども取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
営業倉庫は、国土交通大臣から認可された倉庫業の規定に従って運営する施設のことです。種類はさまざまなものがあり、それぞれ設備条件や基準が異なります。だからこそ、倉庫を選ぶ際は自社の商品や希望条件とマッチしているかどうかが重要です。
山口産業では、さまざまなニーズに合わせたテント型倉庫を提供しております。幅広い事業に対応しているだけでなく、さまざまな課題を解決いたします。
設計から施工まで一貫した自社体制を取っているため、短納期・低コストで提供することが可能です。理想の営業倉庫をお探しの方は、ぜひ弊社にお問い合わせください。
View