2023.11.01
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テント倉庫は、工期が短く導入しやすい倉庫です。一見するとメリットばかりのようにも思えますが、ほかの倉庫と比べてどんな違いがあるのでしょうか。
この記事では、テント倉庫と在来工法の倉庫、プレハブ倉庫、システム倉庫の特徴をメリットとデメリットに分けて紹介します。重要なポイントをふまえて、それぞれの倉庫ごとに導入をおすすめする企業の特徴も解説しますので、新たに倉庫を購入する予定の方はぜひ参考にしてください。
テント倉庫とは、軽い骨組みにシートを被せて作る倉庫全般のことです。構造がシンプルなので工期が短く済みます。建てるまでに比較的時間がかかる在来工法の倉庫と比べると、半分以下の納期で使えるようになることも。
また、変形地に合わせて形を調整したり、折りたたみ式やスライド式の倉庫にしたり、臨機応変な設計が可能です。限られたスペースで作業する必要がある場合は、テント倉庫が適しているでしょう。
また、建物をおおう壁や床がシートなので、採光性が高いことも特徴のひとつ。日光を通しやすい生地を使えば、日中に照明を使う必要がありません。
テント倉庫のもっともわかりやすいメリットは、とにかく設置費用が安く済むことです。使用する建築資材がシンプルなので、在来工法の倉庫やシステム倉庫などと比べて材料費を減らせます。工期が1~2か月と短いので、人件費の負担も軽いです。
予算に上限がある状況でも、相場が安いテント倉庫なら建てられる確率が上がります。また、予算にある程度余裕があれば、テント倉庫より相場が高いプレハブ倉庫やシステム倉庫を建てるより、オプションやデザインにこだわる選択肢を増やすことができるでしょう。
ほかの倉庫より重量が軽いことも注目すべきポイントです。基礎工事に必要な杭や鉄筋コンクリートの規模を大幅にカットできる場合があります。
日当たりがいい場所に倉庫を設置すれば、日中の光熱費を削減することも可能です。テント倉庫は光を通しやすく熱をためこみやすいので、照明や暖房にかかる費用が節約できるでしょう。
コスト以外の注目すべきメリットは、耐震性が高いことです。建物が軽いので、縦揺れや横揺れにテント倉庫そのものが追従します。国土交通省の技術基準をクリアしたテント倉庫であれば、地震が発生しても倒壊する危険性はほとんどありません。
仮に倒壊したとしても、テント倉庫に使われている素材が軽いので、落下物によるリスクを最低限に抑えられます。シートが破損したとき、小規模なものであればシールなどで簡単に補強できることもうれしいポイントです。
テント倉庫は、紫外線などの外的要因による外壁や屋根の劣化が起こりやすいです。ほかの倉庫と比べると耐久性が低いので、修繕せずに長期間使用することはできません。
たとえば、海風が吹く沿岸部や、日差しが照り付けやすい地帯はシートの劣化が速くなりますテント倉庫の平均的な耐用年数はおよそ10年です。立地条件やテントに使われている資材、使用用途によって数値は変動しますが、劣化したシートの定期的なメンテナンスが必要だということは頭に入れておきましょう。
また、構造上の問題で室内に熱がこもりやすいです。とくに夏場は熱中症のリスクが高まることが予想されるため、空調に配慮する必要があります。高温状態に弱い機器や食品、危険物の保管にも向いていません。
ほかの倉庫と比べて防犯性が低いこともデメリットです。外部からの侵入を抑止したい場合、防犯カメラを設置したり、保険に加入したりするなどの措置を取りましょう。
テント倉庫は、軽くて設置や解体が素早くできるので、一時的な倉庫が必要になる業種に向いています。建設業や造船業、イベント業界などに向いているでしょう。
塗装や選別、加工など、ちょっとした作業を行うスペースとしてもテント倉庫は使いやすいです。とにかく多目的な倉庫として使えるので、スポーツ練習場と用具置き場を兼ねたり、展示会場として利用したりしている事例もあります。
在来工法の倉庫とは、一般的な住宅と同様に柱や梁を設けた構造の建築物です。注文住宅を建設するときのように、多種多様なオーダーに対応しています。
在来工法には「木造軸組工法」や「在来木造」という呼び方もあり、おもに木材を使って設計されることが特徴です。テント倉庫と比べて基礎工事をしっかり行うケースが多く、耐用年数が長い傾向にあります。
在来工法の倉庫はデザインの幅が広いです。画一化されたパーツを使って建設するプレハブ倉庫や、コンピューターで設計を行うシステム倉庫と比べて、細かい部分まで比較検討しながら倉庫を作れます。
自由に倉庫を設計できれば、業務を効率よく行うための環境を作りやすいです。搬入物のサイズを考慮して梁や柱の位置を調整したり、業務に必要なスペースを部分的に拡張したりオーダーメイドの倉庫を発注できます。
自由度が高いのは建物の構造だけではありません。耐久性が高い建築資材をセレクトすれば、長期間使用するための倉庫としても満足度が高いものを手に入れられるでしょう。テント倉庫やプレハブ倉庫の耐用年数は10年ほどですが、耐久性を高めた在来工法の倉庫であれば、30年以上使い続けることもできます。
在来工法の倉庫は自由度が高い分、施工費用が高額になりやすいです。規格化された商品が最初から用意されている倉庫とは異なり、ゼロから倉庫を作っていかなければなりません。さらに、特殊な倉庫を建てることになった場合、余分に設計費がかかったり、特注のパーツを用意するための費用がかかったりします。
また、あらかじめ注文者がやりたいことを明確にしていないと、設計段階で決めることが増えます。手順や打ち合わせが多いと面倒に感じる人や、忙しくてあまり打ち合わせに時間を割けない人は、在来工法の倉庫を作るのに向いていません。
在来工法の特徴は、設計から着工までの期間が長いことです。工期にできる限りコストをかけたくない人は、在来工法の倉庫を避けたほうがいいでしょう。設計段階や、部材製作段階、施工開始段階と、それぞれに別のスタッフが関わるケースが多いので、手数料や人件費がかさみやすいです。
特殊な構造の倉庫を作りたい企業や、デザイン性にこだわりたい企業は在来工法の倉庫がおすすめです。白紙の状態から倉庫を作るので、自分が持っているイメージをダイレクトに具現化できます。
また、在来工法の倉庫は木造建築の場合がほとんどです。住宅や事務所と兼用する場合や、物置以外のスペースも用意する場合、在来工法の倉庫であれば自由に設計できるでしょう。
プレハブという言葉は「プレファブリケーション」の略称で、意味は「あらかじめ製作すること」です。プレハブ倉庫は、事前に工場で作られたパーツを持ち込み、設置場所で組み立てます。
建築に必要なプロセスの一部を工場で完結させるので、在来工法の倉庫やシステム倉庫と比べて工期やコストを抑えられることが特徴です。価格帯としては、テント倉庫より高く、システム倉庫や在来工法の倉庫より安い位置にあります。
プレハブ倉庫のメリットは、パーツが画一化されているので建築しやすいことです。分解したり、組み立てたりする作業が比較的容易にできます。
作業が進むにつれて広いスペースを必要とする場合や、最終的に倉庫を拡充したい場合など、長い目で見て倉庫の用途が移り変わる場合に便利です。一時的に仮設倉庫を用意したいケースにも向いています。
また、比較的安価でありながらテント倉庫よりも耐久性が高いです。断熱性が高い素材を活用すれば空調が効きやすくなるので、冷暗所で保管する必要がある物品や、夏場に長時間作業する必要がある場合でも安心です。
プレハブ倉庫は、カスタマイズがしにくいです。決められたパーツや規格のなかから、目的に合ったものを選んで建設する必要があります。特殊な立地条件で倉庫を必要としていたり、業務が一般的な倉庫ではできない場合、プレハブ倉庫ではカバーしきれない可能性があるでしょう。
とくに注目すべきポイントは、柱が多いことです。テント倉庫や柱が少ないタイプのシステム倉庫と比べて、プレハブ倉庫は十分なスペースを確保することができません。一定以上の高さや奥行きを必要とする作業がある場合、プレハブ倉庫を避けるか、導線に配慮する必要があるでしょう。
また、耐久性や断熱性が高い素材を選ぶとコストがかかりすぎるという懸念点もあります。プレハブ倉庫は比較的費用が安いことがメリットですが、軽量鉄骨や高気密など、機能面にこだわりすぎると、かえって予算が高くついてしまうので注意が必要です。
プレハブ倉庫は、工事現場や工場で利用されることが多いです。建築期間が短いことやコストが比較的低いことから、小規模な事業の作業スペースや一時的な保管庫として使われることもあります。
また、最近ではプレハブ用の建築資材のバリエーションが増え、木目調やモダンなデザインの倉庫も増えました。店舗や住居、事務所と倉庫を兼ねた建物としてプレハブ倉庫を使う人が増えています。
システム倉庫とは、倉庫の設計から見積もり、建設までコンピューターのシステムを使っている建物のことです。ある程度の手順が自動化されているため、在来工法の倉庫よりスピーディーに作ることが可能になりました。
一般的な住宅でいうと、セミオーダー住宅に近い建築タイプだと考えるといいでしょう。建築手順がシステム化されているとはいえ、CADを使ってある程度の調整はできます。汎用性が高く、在来工法の倉庫と同様にさまざまな業種の倉庫として利用できるでしょう。
システム倉庫のメリットは、プレハブ倉庫と在来工法の倉庫のいいとこ取りができることです。ある程度の手順が自動化されているのでコストカットできますが、在来工法のように耐久性が高い倉庫を建設できます。
納期に多少の余裕があり、耐久性が高い倉庫を必要としている場合は、システム倉庫が向いているでしょう。在来工法の倉庫が6か月以上かけて完成するのに対して、システム倉庫は4か月ほどで工事が完了します。
また、オリジナリティがある倉庫を作る必要がなく、必要ないコストはカットしたい人におすすめです。システム倉庫なら、オーダーシステムに沿って要望を伝えるだけでハイクオリティな倉庫が手に入ります。ディティールにこだわる必要がないので、打ち合わせできる時間が少ない人や、倉庫建設に関する知識が薄い人でも注文しやすいです。
システム倉庫はある程度のパーツが標準化されているので、外観デザインがシンプルになりがちです。おしゃれなデザインを求めている会社には向きません。特殊なパーツをたくさん必要とする業種や、変形地に倉庫を建てたい会社にとっても不便な工法です。
また、テント倉庫やプレハブ倉庫より工期が長く、費用が高額になります。テント倉庫が1~2か月で完成するのに対し、システム倉庫の工期は4か月以上です。
在来工法の倉庫よりは工期を短縮できるとはいえ、テント倉庫と比べると大がかりな基礎工事が必要になります。短期間だけ利用する倉庫としてはコスト面での負担が大きいといえるでしょう。費用対効果を考慮して、そのほかの倉庫とどの程度予算が違うのか数字を算出することが大切です。
システム倉庫は、物流業界でよく利用されています。柱を少なくした設計に調整すれば、大量の荷物を移動させることが可能です。
また、温度管理が必要な食品業界でも利用されています。大量の食品を保管するとともに、選別スペースや事務作業スペースなど、業務に合わせた区画を用意できます。
大規模な倉庫を建てる場合、簡易的なイメージが強いテント倉庫やプレハブ倉庫より、システム倉庫を選択する人が多いです。システム倉庫は工期が長くなる分耐用年数が長いので、大きな事業で長く使われる倉庫として選択されやすいといえるでしょう。
テント倉庫とその他の倉庫について、それぞれの特徴を解説しました。どの倉庫にもメリットとデメリットがありますが、まず注目すべきポイントは工期と使用目的です。短納期で自由度が高い倉庫を探している人は、テント倉庫を検討してみてはいかがでしょうか。
テント倉庫は、さまざまなシチュエーションで利用されています。山口産業では、自由設計のテント倉庫からレンタル倉庫、伸縮式テントなど、多種多様なテントをご用意可能です。お客様の課題を、当社のテント倉庫で解決してみませんか?
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