2026.09.18
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倉庫を建てようと土地探しをしていると、「用途地域」という区分をよく目にします。
用途地域は種類によって建てられる建物の用途や規模が制限されており、土地選びの際には十分注意する必要があります。
これを確認せずに土地を購入・契約してしまうと、いざ建築しようとした際に「倉庫が建てられない」「規模を縮小せざるを得ない」といったトラブルに発展しかねません。
そこで本記事では、倉庫建築に関わる用途地域の種類や制限内容、確認方法、選び方のポイントについて分かりやすく解説します。
用途地域とは、「都市計画法に基づいて定められた土地の使い方に関する制度」です。
その土地にどのような種類・用途の建物を建てられるかを定めており、住居、商業、工業といった機能を地域ごとに適切に配置することで、無秩序な開発を防ぐ目的があります。
倉庫の建築においても、この用途地域が大きく関わります。
用途地域によって、そもそも倉庫が建てられるかどうか、また建てられるとしてもどの程度の規模まで可能かが変わるため、事前の確認は不可欠です。
用途地域は、大きく分けると住居系・商業系・工業系の3つのグループに分類されます。
さらに細かく見ると全部で13の区分に分かれていますが、ここからは3つのグループでそれぞれの区分について詳しく見ていきましょう。
参考:
工業系には、準工業地域・工業地域・工業専用地域の3区分があります。いずれも倉庫の建築自体は基本的に可能です。
ただし住宅や店舗との混在がどこまで許されるか、規制の厳しさが段階的に異なります。
| 地域名 | 規制内容 | 建築可能な建物 |
| 準工業地域 | 環境悪化のおそれがある工場以外は建築可能。住宅や店舗も混在できる | 倉庫、工場、住宅、店舗、学校など幅広く可能 |
| 工業地域 | 工業の利便を図る地域。住宅は建築可能だが、学校や病院は不可 | 倉庫、工場、住宅、店舗(一部制限あり) |
| 工業専用地域 | 工業専用のため、住宅・店舗・学校などは一切建築不可 | 倉庫、工場のみ |
工業系はどの区分でも倉庫を建てやすいエリアといえます。
ただし、用途地域ごとの建築物の用途制限は建築基準法で定められており、自治体によっては地区計画や条例による追加の制限が設けられている場合もあります。
実際に土地を選ぶ際は、自治体への確認も忘れずに行いましょう。
商業系は近隣商業地域・商業地域の2区分です。いずれも商業施設向けのエリアですが、倉庫の建築も可能です。
| 地域名 | 規制内容 | 建築可能な建物 |
| 近隣商業地域 | 近隣住民向けの商業施設を対象とした地域。工場も一部建築可能 | 倉庫、工場(小規模)、店舗、住宅、事務所など |
| 商業地域 | 銀行・映画館・飲食店・百貨店などが集積する、最も商業性の高い地域 | 倉庫、工場(小規模)、店舗、事務所、住宅など |
商業系はどちらも倉庫の建築自体は可能です。ただし、地価が高く周辺が商業施設で密集していることが多いため、倉庫用地としてはあまり選ばれない傾向にあります。
工業系と同様、自治体の条例で追加の制限がかかっている場合もあるため、確認が必要です。
住居系には8区分があります。
工業系・商業系と違い、倉庫の建築は原則制限されており、建てられる場合も準住居地域を除いて自家用倉庫に限られるなど、条件が厳しくなります。
| 地域名 | 規制内容 | 建築可能な建物 |
| 第一種低層住居専用地域 | 低層住宅のための地域。倉庫は原則建築不可 | 住宅、小規模な兼用住宅など |
| 第二種低層住居専用地域 | 主に低層住宅のための地域。小規模な店舗併設住宅は可 | 住宅、小規模店舗兼用住宅など |
| 第一種中高層住居専用地域 | 中高層住宅のための地域。倉庫は原則建築不可 | 住宅、共同住宅、小中学校など |
| 第二種中高層住居専用地域 | 中高層住宅を主とする地域。一定条件で倉庫も可 | 住宅、店舗、事務所、倉庫(倉庫の用途に供する部分が2階以下かつ1,500㎡以下の自家用倉庫) |
| 第一種住居地域 | 住居の環境を守るための地域。大規模な倉庫は不可 | 住宅、店舗、事務所、倉庫(倉庫業を営まない自家用倉庫で3,000㎡以下) |
| 第二種住居地域 | 主に住居の環境を守る地域。第一種よりやや緩やか | 住宅、店舗、事務所、倉庫(自家用倉庫は用途制限上、床面積の上限なし) |
| 準住居地域 | 道路沿いなど、自動車関連施設と住居が調和する地域 | 住宅、店舗、倉庫(自家用倉庫は用途制限上、床面積の上限なし。営業用倉庫も可) |
| 田園住居地域 | 農業の利便と低層住宅の環境保護を両立する地域 | 住宅、農業用の農産物・生産資材を貯蔵する倉庫のみ |
このように住居系は区分によって倉庫の建築可否や規模の条件が細かく分かれています。倉庫を建てるエリアとして選ぶのなら、特に事前情報を確認することが必要なグループです。
自家用倉庫と営業用倉庫、それぞれ建てられる用途地域の数が異なります。
| 種類 | 概要 | 建てられる用途地域数 |
| 自家用倉庫 | 自社の商品・原材料などを自社のために保管する倉庫。倉庫業には該当しない | 10地域 |
| 営業用倉庫 | 第三者から荷物を預かり保管料を得る倉庫業に該当する倉庫 | 6地域 |
具体的にどの用途地域で建てられるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
倉庫業に該当しない分、建築できる用途地域も広く、条件付きの地域を含めて以下の10地域で建築が可能です。
営業用倉庫は、他者から寄託を受けた物品を保管する営業に用いる倉庫です。
倉庫業法上、他の営業に付随する保管など、一部は倉庫業に該当しない場合があります。
倉庫業を営むには国土交通大臣への登録が必要で、建築基準法だけでなく倉庫業法など、さまざまな基準を満たさなくてはなりません。
また、大規模な設備を伴い人の出入りも多くなりやすいため、近隣環境への影響も大きく、自家用倉庫と比べて建築できる用途地域の規制が強化されています。
営業用倉庫が建築できるのは、以下の6地域です。
自家用倉庫と異なり、第二種住居地域や条件付きで建築可能だった第二種中高層住居専用地域・第一種住居地域・田園住居地域では、営業用倉庫は建築できません。
住居系の用途地域は、種類によって自家用倉庫・営業用倉庫それぞれの建築可否が細かく分かれています。
| 住居系の地域 | 自家用倉庫 | 営業用倉庫 |
| 第一種住居地域 | 3,000㎡以下なら可 | 不可 |
| 第二種中高層住居専用地域 | 倉庫の用途に供する部分が2階以下かつ1,500㎡以下なら可 | 不可 |
| 田園住居地域 | 農業用の農産物・生産資材を貯蔵する倉庫のみ可 | 不可 |
| 第二種住居地域 | 用途制限上、床面積の上限なし | 不可 |
| 準住居地域 | 用途制限上、床面積の上限なし | 可 |
このように、住居系の中では準住居地域だけが例外的に営業用倉庫も建てられる地域です。
それ以外の住居系地域は自家用倉庫であっても面積や用途に条件が付けられることも多く、営業用倉庫は原則建築できません。
用途地域が確認できても、それだけで自由に倉庫を建てられるわけではありません。
建ぺい率・容積率・高さといった規模に関する制限や、耐火構造・防火区画といった安全面の制限もクリアする必要があります。
それぞれの制限内容を解説します。
用途地域が同じでも、実際に建てられる倉庫の大きさは「建ぺい率」と「容積率」という2つの数字によって決まります。
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。
容積率は、敷地面積に対する延べ床面積(すべてのフロアの面積の合計)の割合を指します。
これらは、周辺の日当たりや風通しといった安全性・快適性を保つために、用途地域ごとに異なる上限が設定されており、住居系は低め、商業系・工業系は高めに設定される傾向があります。
また、周辺の日当たりや景観を守るための高さ制限も用途地域ごとに定められています。特に住居系地域は高さ制限が厳しめであり、大型の倉庫を建てにくい要因の一つです。
なお、防災備蓄倉庫については、地域の防災機能を高める観点から一部制限が緩和される場合があります。
耐火構造・防火区画は、火災の延焼を防ぐために定められたルールです。
倉庫の場合、床面積が1,500㎡以上になると準耐火建築物に該当します。3階以上の部分で、倉庫用途に供する床面積の合計が200㎡以上の場合は、原則として耐火建築物とする必要があります。
あわせて、延焼を防ぐために一定面積ごとの防火区画を設けることも義務付けられています。
こうした耐火性能の要求は、用途地域だけでなく「防火地域」「準防火地域」という別の都市計画区分の指定有無によっても変わります。
防火地域では3階建て以上、または延べ床面積100㎡超の建物は耐火建築物にする必要があり、準防火地域でも木造の場合は一定の準耐火構造が求められます。
建物の規模や構造によっては、消防隊の救助・消火活動のための「非常用進入口の設置」や、火災の拡大を防ぐための「不燃材を使用した内装」なども義務付けられる場合があります。
用途地域の確認は、必ず土地の購入・賃借を「決定する前」に行いましょう。
契約後に確認すると、想定していた規模や用途で倉庫が建てられず、計画の見直しが必要になることもあります。
確認方法の中でも簡単なのは、自治体のホームページで「都市計画図」や「用途地域図」を検索する方法です。ホームページに載っていない場合や、情報が古い可能性がある場合は、自治体の窓口で直接確認してみましょう。
その際、用途地域だけでなく、前述の建ぺい率・容積率・高さ制限・防火地域なども併せてチェックすることが大切です。
さらに、実際に現地へ足を運び、道路幅やインフラの状態といった周辺環境を確認しておくことも欠かせません。
用途地域をクリアしても、規模・耐火性能・周辺環境まで含めてトータルで検討しておかないと、後に思わぬ壁にぶつかることもあります。
そこで、倉庫の用途地域を選ぶ際に押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
まずは、倉庫建築の目的を明確にしましょう。倉庫は自家用か営業用かによって、選べる用途地域の選択肢が変わってきます。
また、「冷蔵・冷凍」や「危険物」など特殊な倉庫を計画している場合は、通常の倉庫よりも考慮すべき条件が増えます。この場合は早い段階で目的を明確にすることが大切です。
ここがあいまいなまま土地選びを進めてしまうと、後になって用途地域の制約に引っかかり、計画の練り直しが必要になることもあります。
倉庫の将来的な事業拡大や増築も視野にいれておくと、建築の計画性が高まります。
たとえば建ぺい率や容積率に余裕がある地域を選んでおけば、将来的な拡大・増築にも対応しやすくなるでしょう。
特に工業系地域は、住居系地域と比べて高い建ぺい率・容積率が設定される傾向です。住居系・商業系に比べて上限が高い傾向です。拡張性を重視するなら、有力な選択肢となります。
倉庫を建ててから数年後に手狭になり、移転を迫られるとコストも手間も大きくなるため、土地選びの段階から将来の事業規模を見据えておくのがポイントです。
住居系・商業系地域に倉庫を建てる場合、騒音や振動、トラックの出入りなどで近隣とのトラブルが起きやすいと予想できます。この周辺環境は、事前によく調べておきましょう。
特に住宅や店舗が密集するエリアでは、稼働時間帯の配慮なども求められます。
また、日々の運用のしやすさという観点では、高速道路や幹線道路へのアクセスの良さ、大型車両が通行しやすい道路かどうかもチェックポイントです。
物流動線が悪いと、せっかく倉庫を建てても運用効率が落ちてしまいます。
倉庫を建築する際は、用途地域の確認が不可欠です。区分によって建てられるかどうか、規模、耐火性能まで細かく変わるため、事前の把握が欠かせません。
用途地域や各種制限を正しく理解したうえで、次に考えたいのが「どんな倉庫にするか」です。コストパフォーマンスや工期の短さを重視するなら、テント倉庫は満足のいく選択になります。
テント倉庫のことなら、実績豊富な山口産業にぜひご相談ください。
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