2025.05.27
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毎年のように大型台風が襲来するなか、「テント倉庫は風に弱いのでは」と不安を感じる方も少なくありません。確かにこれまでのテント倉庫は耐久性の課題が挙げられることもありましたが、現在のテント倉庫は建築基準法を満たす構造設計や、耐風性の高い膜材を採用するなど、大きく進化しています。
そこで本記事では、台風による被害事例や、現代のテント倉庫が「意外と台風に強い」理由、さらに対策ポイントや施工事例について詳しく解説します。
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日本は台風の常襲地域であり、毎年複数の台風が接近・上陸しています。近年では温暖化の影響もあり、これまでに経験のないような竜巻や集中豪雨による被害が起こることも視野に入れなくてはなりません。
このような自然災害において、テント倉庫は鉄筋コンクリート造の倉庫などに比べると強度が劣るのは事実です。被害としては、
といったケースが考えられます。
また、破損した部材が飛散し、近隣の建物や車両、通行人に被害を及ぼすといった二次被害のリスクもあります。
ただし、近年は技術の進歩により耐風性が大きく向上しており、台風の多い地域でも問題なく活用されている実績があります。
テント倉庫は一般的に「風に弱い」と思われがちですが、実際には最新の技術と素材によって高い耐風性能を備えています。ここでは3つの理由を詳しく見ていきましょう。
テント倉庫は、簡易な構造に見えることから「法律の対象外では?」と思われることもありますが、実際には建築基準法の適用対象です。建築基準法では、建築物が強風や暴風で倒壊しないよう、構造耐力に関する基準が設けられており、テント倉庫もこれらの基準をクリアした設計が求められます。
そのため、適切に設計・施工されたテント倉庫は、想定される風圧に十分に耐えうる構造となっており、強風時にも高い安全性を保つことができます。
かつてのテント倉庫では、膜材が経年劣化しやすく、数年で破れや穴が発生するケースも少なくありませんでした。特に、風によるたわみやゆるみが見られる状態では、台風の強風にさらされることで一気に損傷が進むリスクもあります。
しかし、近年は膜材の技術が大きく進化し、キズや汚れ、紫外線に強い高耐久素材が多く用いられています。中には、10年を超える耐用年数を持つ製品もあり、強風時の圧力にも耐えられる性能を発揮できます。台風の多い地域でも、安心して長期間活用できる環境が整いつつあるのが実情です。
テント倉庫は万が一破損があった場合でも、比較的簡単に修理できるのが大きな特徴です。たとえば、飛来物がぶつかって膜材に穴が開いた場合でも、専用の補修キットや同素材のパッチを使って短時間で対応できます。
一般的な建築物では、外壁材の種類によっては部分的な補修が難しく、構造材にまで影響が及んでいると大がかりな調査や工事が必要となり、費用も期間もかさみがちです。一方、テント倉庫は柔軟な素材構造とシンプルな施工方式により、破損時にもスムーズな対応が可能です。そのため、日常的な運用のしやすさにも寄与しています。
テント倉庫の耐風性を高めるには、設置時の工夫や事前の対策が欠かせません。ここでは、建設時や台風接近時に取るべき主な対策について解説します。
テント倉庫を建てる際にできる台風対策には、いくつかの重要なポイントがあります。まずは、強風や豪雨に耐えられるよう、耐久性に優れた骨組みや膜材を採用することが基本です。
次に、浸水を防ぐため、基礎工事の段階で倉庫本体の高さを確保しておくと安心です。また、敷地内や周辺に排水設備を整えておくことで、大雨による水たまりのリスクを軽減できます。
さらに、万が一の被害に備えて火災保険への加入も検討しましょう。火災保険の加入もテント倉庫建設時に取れる対策の一つです。建物本体だけでなく、保管物も補償対象となるプランを選ぶことで、災害時の損害を最小限に抑えることができます。
こうした対策を講じることで、台風に強いテント倉庫づくりが実現します。
台風が接近する前には、テント倉庫の安全を確保するための事前点検と対策が欠かせません。特に以下のようなポイントは、被害を防ぐために優先して確認しておきたい部分です。
これらを早期にチェックし、必要に応じて補修しておくことで、強風による損傷を抑えることができます。
また、倉庫内に風が吹き込むと、内側から屋根が持ち上がり構造に大きな負荷がかかるため、ドアや窓は確実に閉めておくことが大切です。
実際に、台風の多い地域でもテント倉庫が安全に活用されている事例があります。ここでは、山口産業が手がけた施工事例をもとに、対策の工夫をご紹介します。
台風の多い沖縄県において、強風対策を意識したテント倉庫を新設した実例です。事前に構造検討を行い、耐風圧仕様で設計・施工することで、暴風時の安全性を高めています。
実際の運用現場でも、過酷な気象条件のなか安定した使用が続いています。
敷地の排水性に課題があるため、基礎を500mmかさ上げし、冠水時の浸水リスクを軽減しています。さらに、潮風による劣化を防ぐため鉄骨は溶融亜鉛メッキ仕様とし、長期的な耐久性にも配慮しました。
不燃性のシートや明るいアイボリーの膜材により、防災性と照明コストの削減も実現しています。
強風被害で破損したテント倉庫の膜材を張り替えた事例です。元は他社で施工されたもので設計図が残っていませんでしたが、現地調査と実測を行い、寸法を割り出して対応しました。
海風による劣化に配慮し、防炎・高耐久の専用膜材を採用しています。既存テントと調和するカラーリングを選び、機能と景観の両立を実現しました。
台風被害は突発的に起こるため、日頃から備えておくことが重要です。特に火災保険への加入は、万一に備える有効な手段です。建物だけでなく保管物も補償の対象となるプランを選べば、実際に被害が出た際にも安心です。
被害が発生した際は、まず安全確認を最優先に行いましょう。倉庫周辺の状況を把握し、内部への立ち入りは慎重に行います。破損状況はスマートフォンやカメラで記録し、破れた箇所や濡れそうな資材には被害拡大を防ぐために応急処置を施します。
その後は速やかに保険会社へ連絡し、補償の可否を確認しましょう。支払いまでに時間がかかるケースもあるため、早めの対応が肝心です。
あわせて、テント倉庫の施工業者にも修理を依頼しましょう。同地域での被害が多いと順番待ちになることがあるため、保険申請中である旨も伝えておくとスムーズです。
修理期間中はテント倉庫が使用できない場合がほとんどであるため、代替する保管対応も検討しておくと安心です。
テント倉庫は一見すると風に弱いイメージを持たれがちですが、実際には設計や素材の工夫によって台風にも十分耐えうる性能を備えています。特に、建築基準法に基づいた構造設計や、耐久性の高い膜材の採用などにより、安全性は大きく向上しています。
こうした性能を最大限に引き出すには、設置時の工夫や定期的な点検・メンテナンスも欠かせません。いざという時の対処法や保険の備えも含め、総合的な対策が重要です。
山口産業では、各地域の気候や立地に応じた耐風設計や施工を行っており、実績に基づく提案が可能です。テント倉庫を長く安心して活用するためにも、ぜひ一度ご相談ください。
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