2024.10.18
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テント倉庫とは、在来工法と比較して低コスト・短期間で施工できるテント生地を使った建造物を指します。さまざまなところで活用されている便利な設備ですが、多数のメリットとあわせてデメリットになる部分も見過ごせません。
今回はテント倉庫の特徴とメリット・デメリットを、メーカーである弊社の視点からわかりやすく解説します。テント倉庫の設置を検討中の企業様やテント倉庫に不安なイメージを持つ方こそ、本記事を参考にテント倉庫の理解を深めてください。
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テント倉庫とは「シート倉庫」「テントハウス」とも呼ばれる鉄骨の骨組みを、帆布(シート)状のテント生地で覆い、屋根や壁にした建築物を指します。
従来の工法より少ない手順で設置できるため、コスト削減や工期短縮が叶う設備としてさまざまな分野で活用されています。
テント倉庫は法律上で設置基準が細かく設定されています。詳しくは国土交通省告示第667号を参考にしてください。
まずはこのテント倉庫の特徴から見ていきましょう。
テント倉庫は基本として「ものを保管するための倉庫」です。具体的な設置場所や用途は以下のとおりです。
業界や分野を問わず多くの企業が活用しているのがテント倉庫の特徴です。用途や土地の形状にあわせた設計が可能であり、幅広い使い方ができます。
ただし、スポーツ施設やイベント会場などテント倉庫内で人が活動する場合は、換気や消防設備など別の基準を満たす必要があります。
テント倉庫の屋根の形状は、
1.切り妻
2.片流れ
3.円弧
の3種類が認められています。それぞれの特徴を以下にまとめました。
屋根の種類 | 特徴 |
切り妻 | 同じ長さ・角度の屋根を三角形に付けたスタンダードな屋根の種類。テント倉庫の約8割が該当する。 |
片流れ | 片方のみ傾斜が付いた屋根の種類。雨や雪などを片方に流し、通路などに落ちるのを防ぐ効果がある。 |
円弧 | ドーム状の円弧を描く屋根の種類。スタイリッシュな見た目が特徴で、高さが取れず最小限に留めたい場合に使いやすい。 |
テント倉庫のサイズは、前述した国土交通省告示第667号によって「1階建て、延べ面積が1,000平方メートル以下、軒の高さが5m以下」に定められています。
これ以上の規模を持つテント倉庫の設置も可能ですが、その場合は「大型テント倉庫」の扱いになります。構造計算書の添付や消防設備の設置が必要となるなど、本記事でご紹介するテント倉庫と建築基準が異なるためご注意ください。
テント倉庫のメリットには「従来工法よりも気軽に設置できる」という点が挙げられます。なぜ、テント倉庫に注目が集まるのか。ほかのメリットも見ていきましょう。
テント倉庫のメリットの一つは工期が短いことです。基本的な工程は、
1.基礎工事
2.鉄骨組み立て工事
3.生地張り工事
となり、一般建築と比べて施工期間は半分以下になります。
また、構造適合性判断が必要ないため、工事終了後スムーズに運用できる点もメリットです。
テント倉庫はシンプルな構造で、軽量素材を使って設置されます。素材が比較的安価なこと、少人数で施工できるため人件費を抑えられることによりコスト削減が実現する点もメリットです。
さらにシンプルな構造上、基礎工事が最小限のボリュームで済み、合理的な構造である点から初期費用を安く抑えられる傾向にあります。
テント倉庫の屋根の種類は3種類ありますが、この屋根の作りからも変形地に設置できるメリットがあります。限られた敷地内や三角形などのいびつな敷地、入り口が狭く奥が広い長方形地などにも設置できます。
屋根に使うテント生地には透明素材のものもあり、透過性の高いテント倉庫であれば日中の室内照明が必要ありません。また、壁面や屋根の一部を透明素材にすることもでき、採光性に優れている点もメリットです。
シンプルな構造のテント倉庫は解体も簡単です。解体後は繰り返し使えるのも特徴の一つで、テント倉庫をレンタル利用することもできます。
ここまでご紹介したとおり多数のメリットがあるテント倉庫ですが、一方でデメリットも存在します。
これからご紹介するデメリットには対策可能なものもあります。テント倉庫の持つリスクを理解した上で賢く活用しましょう。
一般的な鉄骨造の建築物とテント倉庫を比べた際、骨組みの鉄骨耐久年数は変わりませんが、テント生地は耐久性が低い傾向にあります。使用環境やメンテナンス、素材によって異なりますが、テント倉庫は10~20年程度が耐用年数といわれています。
コンクリート造りの倉庫と比較すると火災に強くないのもデメリットです。強風や積雪に対しては、計画地に合わせた構造計算や素材選びによって対策が可能であるため、耐久性の弱点を補う工夫を施しましょう。
自然環境の影響を受けやすく、耐久性が比較的低いテント生地は、下記のような定期的なメンテナンスが不可欠です。
テント倉庫は適切な管理を行う必要がありますが、これらのメンテナンスは耐久性を高めることにもつながります。
初期費用が抑えられランニングコストも削減できるテント倉庫も、メンテナンスが必要である点は理解しておきましょう。
テント倉庫は、断熱対策の選択肢が少ないというデメリットがあります。
テント生地はほかの屋根材(ガルバ鋼板やスレート)よりも熱伝導率が低い上、鉄骨造等と比較すると断熱材との併用も難しく断熱性能が低くなる傾向もあります。このため、設置場所によっては外気温の影響を受けやすいと言えるでしょう。
このように温度管理が難しいため、テント倉庫内で保管する商品の品質保持には気を配る必要があります。また、断熱対策の少なさというデメリットは、内膜に断熱性能のある膜材を使用したり空調設備を設置したりすることで対策が可能です。正しい対策を行い、外気温の影響を受けやすい場所でも、快適にテント倉庫を利用できるようにしましょう。
参考記事:倉庫の暑さの原因と対策(https://membry.jp/column/atsusa/ にリンク遷移)
他の倉庫と比較した場合、テント倉庫は防犯性が低いと言えます。外部からの侵入をより強固に防止したい場合は、防犯カメラの設置や保険の加入が有効です。
ここまで、テント倉庫のデメリットをお伝えしてきました。テント倉庫の弱点を補いつつ快適に利用するためには、テント倉庫を選ぶ際に有効となるポイントを押さえておきましょう。
「テント倉庫は不安を覚える」と思う方こそ、以下のテント倉庫選びのコツをチェックしてみてください。
テント倉庫にはさまざまなオプション、付加機能があります。用途に合わせて、サイズと形状は適切なものを選びましょう。
例えば換気扇や空調設備は、温度管理が必要なテント倉庫内ではぜひ取っておきたい対策です。医薬品や食品などを扱う場合は、必須な付加機能と言えるでしょう。
さらにシャッターや照明、警報装置などを必要に応じて設置することで、より用途に合わせた利用が可能です。
また危険物を扱うなど、保管するものによっては法律上の基準や役所の許可が必要なケースがあります。これらの追加設備や設置基準を考慮するためにも、テント倉庫を設置する際は専門業者に相談することをおすすめします。
近年は、地球温暖化の影響で台風などの自然災害が増加傾向にあります。このほか地域によっては海が近く塩害対策が必要、積雪が多い地方であるなど、その土地ならではの特徴があるでしょう。これらの特性に当てはまる地域にテント倉庫を設置するには、弱点を補う強度や素材選びが重要です。
テント倉庫を選ぶ際、独自の判断で行うのはおすすめできません。構造計算後に適切な部材を選定してくれる業者、地域の特性をよく理解してくれる業者などを選ぶことが大切です。
テント倉庫はデメリットがある分信頼できる業者選びが重要です。施工実績が豊富なところはその分「どのようなテント倉庫が適しているか」などのノウハウを蓄積しており、安心して発注できるでしょう。
また、商品のバリエーションもチェックすべきポイントです。テント倉庫にはさまざまな設備やオプションを付けられますが、これらを幅広く扱う業者も信頼できます。提案力やアフターサービスなども確認しておくと、テント倉庫のメリットを活かした運用が可能です。
山口産業HPでは、山口産業のテント倉庫施工事例を多数ご覧いただけます。どのようなテント倉庫があるか、ぜひ参考にしてみてください。
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